冬のご

狭いワンルームの部屋。流しの前は玄関の登り口。そこに油虫(ご)が一匹いる。
冬の油虫は動きが遅いものだけれど、奴は死んだように動かない。
さっきまではいなかったから蔭から這い出してきたのは間違いない。
今日は益々しんしんと寒く、それで堪らずに出てきたのか。
実は去年の秋口辺りから、姿を見せ対決しては取り逃がしを繰り返した奴が一匹いた。
同じ奴なのではないかと、確信めいた気持ちがある。
もう戦いはお仕舞い。
お寒うございますと声をかけてそのまま。暖まって行って下さい。

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